獣王との不意の遭遇から30分。
俺たちは宿屋の部屋に戻ってきていた。
『今日はもう休むか?』
「だいじょぶ」
そう言って首を振るフランの顔には、ようやく余裕が戻ってきた様に見えた。獣王から距離を取ったことで、調子が戻ってきたかな。
『そうか? 無理するなよ』
「ん。お風呂入ってくる」
フランは風呂が好きだからな、気分転換にちょうどいいだろう。
それに、戻ってくるまでに最低でも30分はかかるはずだ。いつもならスキルの練習をして待っているんだが、今日はその間にやりたいことがあった。
『ウルシ、奴らを鑑定しに行くぞ』
「オン?」
『奴らが冒険者ギルドから出てくるのを待ち伏せて、一瞬だけ鑑定する。あとは跳躍で逃げればいい』
「オウン……」
『大丈夫だ、戦いに行く訳じゃないんだからな』
「……クゥ……」
ウルシも獣王相手にビビッているな。だが、できれば奴らの能力を把握しておきたい。最悪、敵対する可能性もあるのだ。
単に戦闘力が高いだけだったら、逃げ切ることは難しくないだろう。だが追跡系の能力を持っているのであれば、色々と工夫する必要が出てくる。今後取得するスキルにも影響する重大事案だ。
とりあえず、獣王とゴドダルファは戦闘系で、追跡や探索系はそこそこだった。まあ、それだって相当高レベルだが、俺たちなら逃げ切れる。問題は鑑定し損ねたもう一人の護衛と、御者だろう。
それに、影から獣王たちを護衛するような忍者的な存在がいないとも限らないし。
『お前が奴らに近づく必要はない。むしろ離れたところで待機してればいい』
「……オン」
『気配を探って、もう冒険者ギルドに居なければ諦めるから』
「……オン」
こいつ、渋々な感じだな。それだけ怖かったってことなんだろうが。しかたない。ここはご褒美作戦だ。
本当は犬を躾ける時にご褒美で釣るのはいけないらしいが。それ目当てでしか言う事を聞かなくなってしまうらしい。まあ、ウルシは魔獣だしな。時々忘れそうになるけど。
『帰ってきたら、超激辛カレーを作ってやる。フランでも食いたがらないくらいの、地獄激辛味だ』
俺たちは宿屋の部屋に戻ってきていた。
『今日はもう休むか?』
「だいじょぶ」
そう言って首を振るフランの顔には、ようやく余裕が戻ってきた様に見えた。獣王から距離を取ったことで、調子が戻ってきたかな。
『そうか? 無理するなよ』
「ん。お風呂入ってくる」
フランは風呂が好きだからな、気分転換にちょうどいいだろう。
それに、戻ってくるまでに最低でも30分はかかるはずだ。いつもならスキルの練習をして待っているんだが、今日はその間にやりたいことがあった。
『ウルシ、奴らを鑑定しに行くぞ』
「オン?」
『奴らが冒険者ギルドから出てくるのを待ち伏せて、一瞬だけ鑑定する。あとは跳躍で逃げればいい』
「オウン……」
『大丈夫だ、戦いに行く訳じゃないんだからな』
「……クゥ……」
ウルシも獣王相手にビビッているな。だが、できれば奴らの能力を把握しておきたい。最悪、敵対する可能性もあるのだ。
単に戦闘力が高いだけだったら、逃げ切ることは難しくないだろう。だが追跡系の能力を持っているのであれば、色々と工夫する必要が出てくる。今後取得するスキルにも影響する重大事案だ。
とりあえず、獣王とゴドダルファは戦闘系で、追跡や探索系はそこそこだった。まあ、それだって相当高レベルだが、俺たちなら逃げ切れる。問題は鑑定し損ねたもう一人の護衛と、御者だろう。
それに、影から獣王たちを護衛するような忍者的な存在がいないとも限らないし。
『お前が奴らに近づく必要はない。むしろ離れたところで待機してればいい』
「……オン」
『気配を探って、もう冒険者ギルドに居なければ諦めるから』
「……オン」
こいつ、渋々な感じだな。それだけ怖かったってことなんだろうが。しかたない。ここはご褒美作戦だ。
本当は犬を躾ける時にご褒美で釣るのはいけないらしいが。それ目当てでしか言う事を聞かなくなってしまうらしい。まあ、ウルシは魔獣だしな。時々忘れそうになるけど。
『帰ってきたら、超激辛カレーを作ってやる。フランでも食いたがらないくらいの、地獄激辛味だ』